逆転のキックが生んだ奇跡——ハワイ大学・松澤選手の“ありえない挑戦”
スタンフォード戦、残りわずか。
決めれば逆転、外せば敗北。
ハワイ大学のキッカー、松澤選手はプレッシャーの中で見事にフィールドゴールを決め、名門スタンフォードからのアップセットを達成しました。
このキックは確かに衝撃的ですが、本当にすごいのはここに至るまでの道のりです。
■ 20歳から始めたアメリカンフットボール
彼がアメフトを始めたのは、なんと20歳を過ぎてから。
それまで打ち込んできたサッカーではプロになれず、大学受験にも二度失敗。
夢も希望も見えなくなった時期だったといいます。
そんなとき、お父さんがプレゼントしてくれたアメリカ行きの航空券。
気分転換のはずの旅で、彼の人生は180度変わりました。
NFLの試合を観戦し、その熱量に心を打たれた彼は思いました。
「俺、このスポーツでプロになる。」
普通なら冗談にもならない発想です。
20歳から、しかも日本でどうやって?
でも彼は、やってのけました。
■ コーチなし、先生はYouTube
松澤選手には指導者がいませんでした。
そこで“先生”に選んだのがYouTube。
NFL選手のキック動画をひたすら研究し、動きを完全コピー。
自宅近くの公園で一人、黙々と練習を続けました。
周りから見れば「何をしてるんだろう」と思われたでしょう。
でも、彼は本気でした。
「俺の武器はキックしかない。やるなら本場アメリカしかない。」
SNSで自分の動画を発信し続け、ついにアメリカの短大への入学チャンスを掴みます。
■ 底辺チームからの再スタート
ところが、入学したカレッジのアメフト部は“底辺中の底辺”。
練習もゆるく、競争意識もない。
「ここにいたら終わる」そう感じた彼は、2年分の課程を1年半で終えるという無謀な計画を立てました。
朝5時に起きて練習、昼は授業、夕方はトレーニング、夜は勉強。
その生活をやり抜き、本当に1年半で卒業してしまったのです。
さらにその間、全米の大学を訪ねては「俺を使ってくれ」と自ら売り込み。
親に付き添われた若者が多い中、スーツケース片手のアジア人が一人現れる。
大学のコーチたちは、彼のガッツに圧倒されたそうです。
■ 限界、そして母の言葉
しかし現実は厳しく、貯金は底をつきました。
どうしようもなくなり、母に電話で「もうお金がない」と伝えた時、返ってきた言葉がこれでした。
「お金のことは気にしなくていい。あなたは、やりたいことをやりなさい。」
この一言が、彼の心に再び火をつけます。
その後、ハワイ大学から声がかかり、最初は無償の練習生として参加。
地道な努力を続け、2年目に正キッカーの座を勝ち取りました。
そしてあのスタンフォード戦のヒーローとなったのです。
■ “常識外れ”が生んだ成功
サッカーで夢破れ、大学受験に失敗した青年が、YouTubeを先生にアメフトを始め、全米の舞台に立った。
その過程は、奇跡ではなく積み重ねた努力の必然でした。
松澤選手はこう分析します。
「日本でアメフト経験がなかったからこそ、逆に良かった。」
経験がないから無理だと、自分で壁を作ってしまう人が多い。
でも彼には、そんな先入観がなかった。
だからこそ、まっすぐに自分の可能性を信じることができたのです。
■ 未来へのキックオフ
彼の未来予想図はさらに壮大です。
20歳でボールを蹴り始め、28歳でNFL選手になる。
そして40歳まで現役を続け、スーパーボウル制覇とFAでの大型契約を目指す。
途方もない夢のようですが、彼は浮かれていません。
「今はただ、目の前に集中し、自分のベストを更新し続けるだけ。」
そう語る彼の目は、すでに次のゴールを見据えています。
■ あなたの道は、あなたが作る
松澤選手の物語が教えてくれるのは、ただ一つ。
「普通は無理」と決めつけるのは、いつも自分自身だということ。
前例がなくても、誰も信じなくても、道は自分で作ればいい。
彼の挑戦は、それを証明しています。
あなたは、この“ありえない挑戦”をどう感じますか?
ぜひコメントで教えてください。
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