■ はじめに:「フィジる」ってどういう意味?
最近、SNSやスポーツの現場でよく耳にする「フィジる」。
「物理(physics)」のこと?と思った人もいるかもしれません。
実はこれ、「フィジカル(physical)」から生まれた日本発のスラングなんです。
今回は「フィジる」「フィジられる」の意味、使われ方、そして英語でどう表現できるかを解説します。
■ 「フィジる」=体の強さでねじ伏せる
「フィジる」は「フィジカルを使う」→「筋力や当たりの強さで圧倒する」という意味。
例:「今日あいつフィジってた」
→「今日の試合で相手を体の強さで押し切ってた」
サッカーやバスケットボールなど、身体のぶつかり合いがある競技でよく使われます。
■ 「フィジられる」=パワー負けする
「フィジる」の受け身が「フィジられる」。
例:「今日あいつにめっちゃフィジられた」
→「相手の体の強さに押し負けた」「吹き飛ばされた」
プロ選手や学生アスリートの間でもよく聞かれる、リアルな体育会スラングです。
■ どこから生まれた?スラングのルーツ
この表現は、2010年代前半に高校サッカー部の部活用語として広まり、
その後バスケ・格闘技・ジム界隈などに波及しました。
TikTokやX(旧Twitter)でも2020年代に入り再び拡散し、
現在では「フィジカルで勝つ・負ける」を表す若者語として定着しています。
■ 英語で言うとどうなる?
● 「フィジる」(=筋力で圧倒する)
状況 | 英語表現 | ニュアンス |
---|---|---|
体が仕上がっている | He’s jacked / shredded. | 筋肉がよく鍛えられている |
当たりが強い | He’s overpowering the opponent. | 相手を力で押し切っている |
試合中に体を張る | He plays physical. | フィジカルを前面に出している |
● 「フィジられる」(=パワー負けする)
状況 | 英語表現 | ニュアンス |
---|---|---|
相手に吹き飛ばされる | He got bodied! | NBA実況などで使われるスラング |
力で押し込まれる | He was manhandled. | 完全に力負けした |
※「He got bodied!」はアメリカのスポーツ実況でよく聞かれる表現で、
直訳すると「フィジられた!」に近いニュアンスになります。
■ 「フィジる」は日本語スラングの進化形
- 英単語“physical”を語源に持ちながらも、意味が変化して日本語化。
- 「バズる」「ググる」などと同じ、英単語+るの派生型スラング。
- SNS時代に広まった、Z世代特有の造語センスの一例です。
■ まとめ:文化が作る言葉の面白さ
「フィジる」は単なる流行語ではなく、
スポーツ文化と若者の言語感覚が融合して生まれた現代語です。
英語で言うなら “play physical” や “get bodied”。
言葉の背景を知ることで、SNSや実況の英語表現もよりリアルに聞こえてくるはずです。
■ 出典・参考資料
- Oxford Languages “physical” 定義より
- Urban Dictionary “get bodied / jacked / shredded”
- Jリーグ公式SNS投稿(2024年)/高校サッカー部インタビュー記事(Number Web, 2023)
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