【ブログ記事版】
はじめに:その「ナイス」、本当に通じてますか?
スポーツの現場や日常会話でよく耳にする「ナイスプレー!」「ナイスバッティング!」。でもこれ、英語として本当に自然なのでしょうか?
今回は、日本人におなじみの“ナイス○○”表現を英語的な視点から見直し、ネイティブが実際にどう表現しているのかを解説します。
よく使われる“ナイス○○”一覧とその違和感
まずは、日本で頻繁に使われる「ナイス○○」表現を見てみましょう。
- ナイスプレー
- ナイスキャッチ
- ナイスファイト
- ナイスバッティング
- ナイスピッチ
一見すると自然な英語に思えますが、ネイティブの感覚とはズレているものも多いのです。
英語で自然なのはどれ?ネイティブ評価付き仕分け表
表現 | ネイティブ感 | よく使われる表現 |
---|---|---|
Nice shot | ◎ | ゴルフやバスケでよく使う |
Nice try | ◎ | 励まし表現として定番 |
Nice play | ◯ | 使う人もいるが“What a play!”が自然 |
Nice catch | △ | “What a catch!”の方が一般的 |
Nice pitch | △ | “Good pitch!” “Great pitch!”が多い |
Nice batting | ❌ | 通じにくい。“Great hit!”などが自然 |
Nice fight | ❌ | 完全な和製英語。“Good effort!”など |
「Nice」は主観的、「Good」は客観的な表現
英語で「Nice」は、“感じがよかった”“心地よかった”という、かなり主観的な感覚を表す言葉です。
- Nice job.
- Nice shirt.
- Nice outfit.
- Nice weather.
どれも、「私はそれが好きだと感じた」ことを伝える柔らかい表現です。
一方で「Good」は、「一定の基準をクリアしている」「客観的に見て良い」という評価が含まれます。 「Great」はさらにその上、「とても素晴らしい」「印象に残る」などの絶賛のニュアンスになります。
例:
- Nice game. → まあまあよかった
- Good game. → 試合内容がしっかりしていた
- Great game! → 熱戦だった、感動した!
「Nice shot!」はなぜネイティブも使う?
数ある“ナイス○○”の中でも、“Nice shot!”は英語圏でも自然に使われる表現です。なぜでしょうか?
理由1:shotは一発のアクションで、結果が明確
“shot”は、
- ゴルフの1打
- バスケの1シュート
- 写真の1枚
- 映画のワンカット など、「一発で完結する行為」を表す言葉です。
そこに「Nice!」という感覚的な賞賛が乗ると、非常に自然なリアクションになります。
理由2:“Nice shot!”は文化的にも定着したフレーズ
英語圏では「Nice shot!」が社交辞令・定番の褒め言葉としても機能しています。特にゴルフでは、プレーの上手さに関わらず「Nice shot!」と声をかけるのがマナーとされているほどです。
対照的に「Nice batting」はなぜ不自然?
“Batting”や“Pitching”は、「行為の流れ」や「継続的なパフォーマンス」を指すため、“Nice”のような瞬間リアクションとは相性が良くありません。
英語ではこう言い換えます:
- Nice batting. ❌ → Great hit! / Solid contact! ✅
- Nice pitching. △ → Good pitch! / Great pitch! ✅
日本で“ナイス○○”が浸透した背景
なぜ日本では“ナイス○○”が広く使われるようになったのでしょうか?
- 部活やスポーツ指導で定着
- テレビ中継での多用
- 「Nice to meet you.」の影響
- 日本語にない“やんわり褒める”ニュアンスとしての便利さ
こうした文化的背景が、“ナイス○○”の汎用性を押し上げてきたのです。
プロの表現としては要注意
日常会話で「ナイス!」と使うのはもちろんOKです。
ただし、「伝えること」を仕事にしているプロの実況者・解説者・MCが、思考停止で「ナイス○○」を乱用するのは少しもったいないかもしれません。
「ナイス」だけでは、何がどう良かったのかが伝わらない。
伝える側だからこそ、そこに“言葉のセンス”が求められるのではないでしょうか。
ネイティブならこう言う!
和製英語 | ネイティブらしい表現 |
---|---|
ナイスプレー | Great play / What a play! |
ナイスキャッチ | What a catch! |
ナイスファイト | Good effort! / Way to hang in! |
ナイスバッティング | Great hit! / Solid contact! |
ナイスピッチ | Good pitch! / Great pitch! |
まとめ:言葉のセンスを磨くために
“ナイス○○”という言葉は、英語的にも一部は通じますが、万能ではありません。
便利だからといって連発するよりも、その場に合った英語表現を選べることが、言葉のセンスと品格につながるのではないでしょうか。
まずは「Nice」→「Good」「Great」へのステップアップから始めてみましょう!
【運営】Prime Time Eigo(エーゴ先生) ▶︎ 英検一級/TOEIC960|スポーツ実況歴15年|英語と言葉にこだわる学びメディア ▶︎ YouTubeもチェック:https://www.youtube.com/@PrimeTimeEnglish
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